選び方
2021.6.25
振袖の下に着る肌着の選び方と和装肌着の役割
振袖を着る時は、ブラジャーは基本的には着用しません。 振袖の下には、和装下着を着用し、その上に長襦袢を羽織ります。 しかし、そうはいってもブラジャーを着けないことに違和感を感じる人は少なくないと思います。そこで、振袖の時に着用する和装ブラやショーツ、和装に必要な下着類について詳しく解説いたします。これから肌着を揃える人は、ぜひ参考にしてください。
振袖の肌着について
振袖を着る時には、どんな下着を着用するのが正しいのでしょうか。
まずは、和装の下着事情と着用する理由について詳しくみていきましょう。
振袖の下着事情
毎日着物を着ていた時代には、今のようにブラジャーやショーツはありませんでした。
肌襦袢と呼ばれる現代のキャミソールのようなものを上半身に身に着け、下半身には裾よけを身に着けていました。
そのため、現代でも和服の時は下着を着用しないのが一般的です。
しかし、最近では肌襦袢の下にブラジャーを着用する人も増えています。
肌着が必要な理由
下着を着るならわざわざ肌襦袢や裾よけを着る必要はないのでは?と思う方も多いと思います。
なぜ肌着は必要なのか、理由は2つあります。
長襦袢を汚さないようにするため
素肌の上に直接長襦袢を羽織ると、すべての汗を長襦袢が直接吸い込んでしまいます。
特に正絹の長襦袢は、濡れるとすぐにシミになってしまいます。
長襦袢が汚れると、振袖にもシミができてしまうかもしれません。
汗ジミから大切な振袖を守るために、必ず肌襦袢を着ましょう。
長襦袢は頻繁に洗濯できません。
少しでもシミを残さないよう、直接肌に触れないようにしましょう。
関連記事;振袖を汚さない脱ぎ方とは?振袖の脱ぐ場所と最適な保管方法について解説します
美しく着るための補正をするため
振袖を着る時は、体のラインが極力出ないように補正を行って着用すると綺麗に見えます。
補正は肌着の上から行うため、肌着がないと補正が決まらず、着崩れの原因となってしまいます。
「コケシ体型」を作るためにも、肌着は必需品なのです。
振袖の肌着の種類
振袖を着る時の肌着の種類にはどのようなものがあるのでしょうか。
和装の下着の種類と役割について、詳しく解説いたします。
肌襦袢
肌襦袢は、上半身タイプで素肌に着用します。
汗を吸いやすいよう、綿や麻、ガーゼ素材のものが多いです。
夏用は風通しが良い素材がよく、冬は防寒にもなる温かい素材のものがおすすめです。
裾よけ
ショーツの上から着用する、下半身タイプです。
肌襦袢とセットで着用します。
滑りが良くなるよう、ポリエステル素材などが使用されることが多いです。
裾よけがあると、着物を汚さないだけでなく裾さばきがスムーズになるため、歩きやすく崩れにくいです。
和装スリップ
肌襦袢と裾よけがセットになった、ワンピースタイプです。
一人でも簡単に着られるので、着付けの手間が省けて便利です。
ほとんどの和装スリップはポリエステル素材を使用しています。
ポリエステルは滑りが良くお手入れも簡単です。
ただ、通気性が悪いため汗をかきやすいのが難点。
夏場は吸湿性の高い綿などの素材を使ったものを選ぶのがおすすめです。
長襦袢
肌襦袢や和装スリップといった下着の上に着用するのが長襦袢です。
現代でいうと、スリップやキャミソールと似たようなものです。
長襦袢も汗じみから守る役割がありますが、下着とは別の扱いになります。
長襦袢は半襟や袖口などから見せて着用するため、着物を着飾るためのアイテムとしての役割もあります。
素材は正絹、ポリエステル、ウールと様々です。
防寒の役割もありますので、冬はウールや木綿、夏はポリエステルやシルクなど季節によって使い分けましょう。
和装ブラジャー
着物を着る時は、胸を潰して平らにし、コケシのような体型にするのが理想的です。
昔はサラシを使用していましたが、現代では和装ブラジャーが胸のラインをなだらかにする役割を担っています。
ブラジャーを着けないことに抵抗がある方は、和装ブラジャーがおすすめです。
ノンワイヤーブラ
スポーツブラやノンワイヤーブラなら和装ブラジャーの代用になります。
胸のラインを強調しているのはワイヤーです。
ワイヤーがないタイプならそれほど立体的になることもないですし、スポーツブラは揺れないよう胸を押さえつけるので、着物を着るときにはピッタリです。
ブラジャーを選ぶ時のポイント
一般的なブラジャーの中から和装に合うものを選ぶためには、いくつかポイントがあります。
まず、胸を立体的に見せないためにも、ボリュームアップ系のものは避けましょう。
次に、レースやリボンといった装飾は邪魔になるので、何も無い方がいいでしょう。
また、外から見えてしまうような華美なデザインや色も避けてください。
カップ付きのインナーや、線が出ないシームレスタイプがおすすめです。
パンツ
パンツのラインは長襦袢や着物に響くので、基本的にはティーバックのような線がでないものがベストです。
また、着物は腰回りを締め付けるので、パンツを上げ下ろしするのが想像以上に大変です。あまり股上が深すぎると下ろせなくなるので、ボクサータイプのような浅めのショーツがいいです。
振袖を着るときに生理の場合
決して振袖を汚さないためには、羽のついた漏れの心配がない「ダブルクロッチタイプ」のサニタリーショーツがおすすめです。
他にも、いざというときにすぐにショーツを下ろせるローライズタイプも人気です。
それでも心配な方は、サニタリーペチコートも合わせて使用すれば、経血の漏れを完全ガードできます。
ショーツも防水布が広いものにすれば、万が一の場合も被害を最小限に食い止められます。
キャミソール
和装の肌着が直接肌に触れることに抵抗がある方は、キャミソールを着た上から肌着を着ると安心感があります。
キャミソールにはパッドやワイヤーのような体のラインを崩すようなものは何も入っていませんので、着用しても問題ありません。
発熱インナー
成人式は1年でもかなり寒い1月に行われます。
寒さをしのげるよう、発熱インナーを着た上から肌着を着ると暖かいです。
ただ、振袖は想像以上に重ね着をしますし、袷で作られているので真冬でもそれほど寒くはありません。
寒さが特に苦手な人以外は必要ないでしょう。
ストッキングやレギンス
下半身の防寒用には、ストッキングやレギンスがおすすめです。
厚手のものなら保温性が高く、履いているだけでもかなり違います。
また、縫い目もないので着物のラインに響くこともありません。
10分丈を選ぶと裾から見えてしまう可能性もあるので、7分丈くらいにしましょう。
足袋ソックス
真冬に足袋だけでは寒くて耐えられない方や、末端冷え性の方におすすめなのが足袋ソックスです。
足袋ソックスを履いた上から足袋を履けば、足袋を二重に履くよりも温かいです。
足袋ソックスを履く時は、足袋ソックスをちょうどのサイズにして、足袋のサイズを0.5cmアップするとスムーズに履けます。
振袖の肌着のポイント
肌着は一番初めに着るので、しっかり着付けておかないと、後から調整するのが大変です。
そこで、肌着を着る時に気をつけておくポイントをおさらいしておきましょう。
衣紋から肌襦袢や下着が見えないように
肌襦袢を着る時に注意すべきポイントは、衣紋(首の後ろ部分)をしっかり抜くことです。
また、前はゆったり目に合わせて、襟や首の後ろから下着が見えてしまわないように着付けます。
見えていいのは長襦袢までで、下着が見えると美しさが損なわれてしまいます。
すべて着付けた後に気づいても、着付け直すのは大変です。
最初の段階でしっかりチェックしておきましょう。
インナーの長さ
インナーも、裾や袖元から見えないように気をつけます。
襟ぐりが大きく開いたものや、袖丈が短いもの、レギンスの場合は7分丈から膝上くらいのものを選びましょう。
暑さ
着物の中でも特に振袖は、タオルを何枚も挟んだり、たくさん重ね着するので、想像以上に暑いです。
肌着にカイロを貼ったり、発熱インナーを重ね着してしまうと、暑くても脱げません。
あまりにも暑いと気分が悪くなってしまうこともあるので、インナーで防寒対策をするよりも、ショールやコートで調整した方がいいでしょう。
ボディーラインが強調されるものを避ける
着物姿で最も美しいのは、立体感のないコケシ体型です。
ボディーラインが目立つようなものは避けるようにしましょう。
特にブラジャーを着けていると、胸の凹凸で衿合わせがずれ、早々に着崩れてしまいます。
振袖を着る時は、和装ブラもしくは何も着けない方がいいでしょう。
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まとめ
振袖の下には、汗ジミや汚れを防ぐためにも、必ず和装用の肌着を身につける必要があります。
汚れ防止以外にも、体型補正のために肌着の上からタオルを重ねたりするので、肌着は必ず着用してください。
また、ブラジャーやショーツはなるべくワイヤーや縫い跡がない、体の凹凸が目立たないようなシンプルなものを、選べば問題ありません。
下着や肌着を全く着用しないのは違和感があり、不安だと思います。和装にふさわしい下着や肌着を選べば当日も安心です。