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2021.6.25
振袖と訪問着の違いを解説!留袖の特徴や格、種類なども紹介します
着物には様々な種類がありますが、中でも振袖と訪問着の違いがよく分からないという方は多いのではないでしょうか。振袖と訪問着は、それぞれ特徴や格式が異なるため、違いを理解したうえでの使い分けが必要でしょう。そのためこの記事では、振袖と訪問着の違いや留袖に関する解説等をします。
振袖と訪問着の違い
ここでは、振袖と訪問着の違いについて解説します。
振袖とは
振袖とは袖の長い着物であり、未婚女性の第一礼装として成人式や結婚式などに使用されています。
訪問着とよく混同されることがありますが、原則としては未婚女性に限定されることが一番の違いであると言えるでしょう。
振袖の起源は、今から400年以上も前の江戸時代初期にまでさかのぼります。
当時の踊り子は、愛情や悲しみなどの感情を表現するために、着物の袖を使い仕草を表現していました。
その仕草を未婚女性が真似し、異性に愛情を伝えていたことから、袖が長くなっていったと言われています。
振袖の着用シーン
振袖には以下の3種類があり、それぞれに適した場面があるため解説します。
- 大振袖
- 中振袖
- 小振袖
大振袖とは
袖の長さが105~120cm程度と最も長い振袖のことです。
長い裾を引きずるように歩く様子から「引き振袖」などとも呼ばれています。
着物としての格式も最も高く、花嫁が婚礼衣装のお色直しに用いられるのが定番です。
また、近年では成人式にお召しになる方も増えてきています。
関連記事:大振袖とは?着物の種類や着用シーン、オススメ色や柄などをご紹介!
中振袖とは
袖の長さが100cm程度の振袖のことです。
大振袖と比較すると格式は落ちますが礼装として活用でき、成人式の晴れ着や結婚式へお呼ばれして出席する際のアイテムとしてよく利用されています。
ただし、結婚式では花嫁より目立たないことが最低限のマナーであり、柄や髪型などには注意しなくてはなりません。
また、近年では卒業式の卒業袴としてお召しになる方もいます。
関連記事:中振袖とは?成人式から結婚式まで利用できるシーン5選
小振袖とは
袖丈が60~80cm程度と最も短い振袖のことを指します。
3種類の振袖の中では最も格式が低いものの、動きやすく若々しい印象を与えられる振袖です。
卒業式に袴と合わせてお召しになるのが定番となっており、その他にはちょっとしたパーティーや観劇など華やかな席にも着ていけるため便利でしょう。
関連記事:小振袖とは?着物の種類や着用シーン、オススメ色や柄などをご紹介!
振袖の着付け
振袖に合わせる帯は、礼容ある帯の袋帯が一般的です。
袋帯は裏地に模様がない無地や地紋であるため、比較的結びやすいと言えます。
色や柄は、振袖に合わせてチョイスするようにしましょう。
草履は、帯の色に合わせてチョイスすると全体がよくまとまります。
帯が古典柄なら草履も古典柄、現代柄なら草履も現代柄といったように、統一感を出してみてください。
振袖の着付けは、訪問着や他の着物と比べ、とても難しいといえます。
帯結びのバリエーションが多く、帯幅が広くて硬いため、自分で着付けることはなかなかできないと思って良いでしょう。
また振袖を綺麗に着付けるには、体型補正が大切です。
全体的になだらかで筒のような線を作ることを意識して、体型補正をすることが重要です。
訪問着とは
訪問着は、肩から裾にかけて絵羽模様のある着物です。
明るい雰囲気を演出でき、年齢や未婚・既婚を問わず誰でもお召しになれます。
紋が増えるほど格式が高くなり、紋付であれば準礼装、紋なしであれば略礼装になります。
起源は大正時代であり、当時の女性から多く寄せられた「留袖ほど格式が高くなく、ちょっとしたお出かけにぴったりのアイテムが欲しい」との声に応えて生み出されました。
訪問着の着用シーン
年齢や未婚・既婚を問わず活用できる訪問着は、様々な場面で活用できます。
例えば、披露宴への出席や観劇、お宮参りや入学式、卒業式、ちょっとしたパーティーなど幅広い場面で活用できるでしょう。
紋を付けると色留袖と同格の格式高い準礼装になりますが、カジュアルな場面にも対応できるように紋を入れずに仕立てる方も多くいます。
結婚式においては、新郎新婦の親族や友人などゲストの立場であれば、訪問着を着て出席できます。
ただし紋の数によって格式が異なるため、親族であれば一つ紋や三つ紋、ゲストの立場であれば一つ紋や無地のアイテムを使用するのがポイントです。
また親族の場合は、落ち着いた雰囲気で縁起の良い柄が描かれたアイテムを、ゲストならば華やかな雰囲気のアイテムを使用すると良いでしょう。
成人式においては、新成人は準礼装ではなく第一礼装を使用することから、訪問着ではなく振袖の着用がふさわしいでしょう。
訪問着の着付け
格の高い訪問着に合わせる帯としては、袋帯が一般的です。
結婚式のような正式かつ華やかな場に出席する場合は、二重太鼓結びにするのが定番でしょう。
訪問着に合わせる草履は、淡い色でエナメルや錦を素材にしたものがおすすめです。
草履台は高い方が正式な場に適しており、幅広く使いたいのであれば5.5cmの草履を選んでおくのが無難でしょう。
振袖と比較しても着付けがしやすく、自分で着付けることも充分に可能です。
やはり体型補正をして体の線を寸胴に見せると、より美しく見えるでしょう。
結婚した女性は振袖から留袖に切り替える
振袖は未婚女性が使用する第一礼装であり、結婚した女性は振袖から留袖に切り替えることになります。
留袖には黒留袖と色留袖の2種類があり、黒留袖が最も格式高く、色留袖も訪問着より格が高い着物です。
黒留袖とは
黒留袖とは布地が黒色の留袖のことであり、シルク素材を用いた上質で高級感のある見た目が特徴的です。
結婚した女性の第一礼装であり、結婚式や披露宴において新郎新婦の母親または親族が着用するのが一般的でしょう。
最も格式高い着物であるため紋は最上級の五つ紋であり、染め抜き紋で作られた日向紋が正式です。
色留袖とは
色留袖とは布地が黒以外の留袖のことであり、ピンクやブル―など様々な色があります。
格は紋の数によって変化し、五つ紋であれば黒留袖と同格の第一礼装、三つ紋は正礼装~準礼装、一つ紋も礼装としてお召しになれます。
五つ紋であれば親族の結婚式や授賞式など格式の高い場で活用でき、一つ紋や三つ紋であれば知人の披露宴や子どもの入学式・卒業式やお茶会など幅広い用途に使えます。
関連記事:振袖と留袖の違いは?黒留袖・色留袖の違いや着用シーン等を解説!
色留袖と訪問着との見分け方
色留袖と訪問着は比較的混同されやすい着物だと言えます。
2つとも絵羽模様になっており、明るい印象から一見すると見分けがつきにくいためです。
しかし、一般の方でも両者を簡単に見分ける方法はあります。
ポイントは、着物の上半身の柄です。
色留袖は下半身にしか柄がなく、胸のあたりにはついていません。
一方、訪問着は肩から裾まで柄が付いている着物であり、色留袖とは異なっています。
また、色留袖は公式な格式高い場で活躍するアイテムであり、カジュアルな場面にも対応できる訪問着とは異なっています。
振袖は訪問着にリメイクできる
振袖は未婚女性の第一礼装ですが、実は結婚した後でも愛用し続けられます。
柄によっては袖を短くして訪問着にリメイクできるのです。
ただし、振袖は比較的派手な柄や色のものが多く、控えめな柄・色の方がリメイクには向いているでしょう。
もしリメイクを考えているのであれば、振袖をチョイスする段階で派手すぎない柄・色のものを選択しておくのがポイントです。
また、訪問着へリメイクするには袖を切る必要があり、一度袖を切ってしまうと元には戻せない点に注意しましょう。
袖を切らずに中へ折り込んでしまうリメイク方法もありますが、袖が重くなる点や元の振袖に戻す時スジなどがついてしまうことがある点はデメリットです。
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まとめ
振袖は未婚女性の第一礼装であり、種類の違いによって向いている場面が異なります。
一方の訪問着は年齢や未婚・既婚を問わず活躍するアイテムであり、紋の数によって様々な場面に対応可能です。
留袖には黒留袖と色留袖があり、黒留袖は最上格の礼装、色留袖は紋の数によって格式が変化します。
それぞれの特性や格式の違いに注意し、最適なアイテムをチョイスしましょう。