選び方
2021.6.25
振袖は正絹がいい?ポリエステルの違いと正絹のメリット・デメリット
昔から正絹の振袖は、上品な光沢から高級感があり、質の良い最高級のものであると言われてきました。 それは今でもかわらず、ポリエステル素材の振袖も多数登場する中で、いまだに根強い人気があります。 しかし、正絹はやはり高額であるため、好きな柄や雰囲気のものを気軽に選ぶことが難しいという側面もあります。 この記事では、振袖にはポリエステルと正絹ではどちらが良いのかを、メリットとデメリットを見ながら解説します。
正絹生地の振袖
振袖といえば正絹といわれるほど、正絹は根強い人気を誇ります。
では、そもそも正絹とはどういった素材なのでしょうか。
正絹を使った振袖のメリットと共に、詳しく解説します。
正絹とは
正絹とは別名シルクともいい、100%絹で作られた着物ことです。
他にも「本絹」という呼び方をする人もいます。
絹は蚕の繭を紡いで作る動物性の糸です。
肌触りがなめらかで柔らかく、着た際に肌に非常に馴染みやすいのが特徴です。
また、通気性が良いにも関わらず、冬はとても温かいという特徴もあります。
そのため振袖では、正絹が圧倒的に人気があります。
正絹の振袖のメリット
「振袖は正絹」と言われるほど人気の高い正絹ですが、実際にどういったメリットがあるのかみていきましょう。
夏は涼しく、冬は温かい
正絹は、通気性が抜群にもかかわらず、保湿にも優れています。そのため夏はムレにくくて涼しく、冬は保温効果が高いため温かいです。振袖のような寒い時期にたくさん重ね着をする着物は、正絹がぴったりです。
また、成人式ではショールを使うことも多いので、正絹の振袖であれば静電気が起きにくいメリットもあります。
着崩れしにくい
正絹は着心地が他のどの素材よりも気持ちがよく、着崩れしにくいことが最大の特徴です。
絹の質感はなめらかで柔らかく、しっとりと肌に吸い付くような感覚があります。
また、帯を締める時も滑りにくいため、着崩れしにくいことも魅力的です。
高級感がある
絹と他の素材との大きな違いは、自然にできる光沢です。
この光沢は非常に美しく、高級感が漂う上質な生地である絹の最大の特徴です。
また、「正絹は最高品質の良いもの」という根強い人気があり、振袖は絹が良いという人も少なくありません。
正絹は素材そのものも素晴らしいですが、そのブランド力も変わらず人気が高い理由の一つです。
正絹の振袖のデメリット
正絹の美しさや高級感は振袖に誂えた時の最大のメリットでもありますが、正絹ならではのデメリットもあります。
お手入れ
蚕の繭から作られている動物性の糸なので、とにかくデリケートです。
摩擦には非常に弱く、バッグや金具に引っかかったり擦れたりするだけで簡単に毛羽立ってしまいます。
さらに、絹は雨にも弱く濡れるとシミになったり、縮んでしまうこともあります。デリケートな素材ですので、お手入れは非常に重要です。
具体的なお手入れ方法ですが、まず正絹は自宅で洗濯できません。必ずドライクリーニングに出しましょう。
次に保管方法ですが、通気性の良い桐たんすに入れて湿気を防ぎます。
また、同じ場所に長期間、保管せず、年に三度程度は虫干しをすることが大切です。
丁寧に保管することで、長く綺麗な状態で着用できます。
関連記事:振袖のクリーニングタイミングは?値段相場や業者選びのポイントも!
関連記事:振袖の正しい保管方法を解説!振袖のたたみ方やお手入れ方法も紹介!
価格
正絹は、ポリエステルの着物に比べると価格が高いことがデメリットです。
例えば正絹の場合、購入ならば約40万前後から、レンタルでも約20万円前後が相場と言われています。
ポリエステルであれば、購入もレンタルでも正絹の相場よりももっと価格を抑えられます。正絹は上質な生地で光沢が美しいですが、その分かなり高額になってしまうという点があります。
関連記事:振袖の相場ってどのくらい?購入とレンタルの相場やメリット・デメリットを解説
ポリエステル生地の振袖
成人式の振袖は正絹でなければならない、と考えている方は意外と多いです。
しかし、実際は、ポリエステル生地でも問題ありません。
ここからは、ポリエステル素材とポリエステル振袖のメリットとデメリットについてみていきましょう。
関連記事:ポリエステルの振袖の魅力とは?成人式の振袖 正絹とポリエステルの違いを知ろう
ポリエステルとは
ポリエステル生地とは、合成繊維から作られた生地で、原料は石油がメインです。
例えば、、普段着ている洋服はポリエステル素材が多く使われています。
洋服で着ているならそれほど違和感はないと思われる方もいると思いますが、着物の正絹と比較してみると肌触りが驚くほど違います。
ポリエステル最大の特徴は、肌ざわりがごわごわしていることです。
最近では絹に近づけたポリエステルなどもありますが、風合いは似せることができても肌触りだけは正絹には及びません。
正絹の着物に一度袖を通してしまうと、なかなかポリエステルの着物を選ぶことができなくなるほどです。
成人式では正絹の振袖を、と思う母親は多いと思いますが、正絹でなければならないことはありません。ポリエステルの振袖には、正絹にはない良さもあります。
ポリエステルの振袖のメリット
ポリエステルの振袖にも、他にはないメリットがあります。
ここでは、ポリエステルの振袖の良さについて見てみましょう。
保管のしやすさ
ポリエステルの着物は虫に食われることもありませんし、カビになることもありません。
また、湿気や雨にも強いため、衣装ケースに洋服同様に保存できます。
加えて、多少の汚れであれば自宅の洗濯機で簡単に汚れを落とすことができます。
すぐに洗濯できるので、いつまでも綺麗な状態で着用できます。
価格
正絹の振袖は、レンタルをしたとしても20万円前後とかなり高額です。
しかもお手入れにも手間がかかりますので、クリーニング代なども高額です。
それに比べてポリエステルは、生地そのもののが安価なため、かなり安い金額で購入できます。
相場も幅広く、仕立てがない状態であれば5万円〜10万円前後でフルセット購入することも可能です。
価格を気にすることなく、自分の好きな振袖を選ぶことができるのはポリエステルの振袖の最大のメリットです。
ポリエステルの振袖のデメリット
それでは次に、ポリエステルのデメリットをみていきましょう。正絹のデメリットと比較すると、ポリエステルの方がデメリットと感じる点が多いです。
夏は暑く、冬は寒い
ポリエステル素材は、通気性や吸湿性が非常に悪いです。
夏など暑い季節ではポリエステルは、汗を吸いにくいので暑くてムレますし、冬は生地がひんやりと冷たいため非常に寒いです。
また、静電気も起きやすいので、ショールなどの素材に注意が必要です。
着崩れしやすい
ポリエステルの振袖は、正絹と比べると重量があります。そのため、帯や帯締めなどの装飾品が滑りやすい傾向にあります。
また、素材がポリエステル同士だと、非常に滑りやすくなります。
ポリエステル生地の着物には、絹など違う素材で合わせると滑りにくくなります。
着物の生地が滑りやすいことは、少しの動きでも着崩れしやすいことを意味します。
一度着崩れるとだらしなく見え、ひとりで着直すのはとても難しいので注意が必要です。
安っぽく感じる
母親の世代では「ポリエステルの着物は、遠くから見ても簡単に見分けがつく」と言われていました。
ポリエステルの生地はペラペラで薄く、発色が悪いなど、それほどポリエステルの振袖は良いイメージがありませんでした。
確かに生地の光沢や質感といった正絹ならではの高級感は、ポリエステル生地では再現できないほど素晴らしいものがあります。
しかし、昔に比べるとポリエステルの品質は驚くほど高くなっています。
マイクロファイバーや高級ポリエステルといった最新の合成技術を使って、正絹のような上品な光沢や、柔らかい質感を再現できるようになっています。
インクジェットの技術も素晴らしく発展しているため、昔のように見ただけで正絹かポリエステルか見分けることが難しくなりつつあります。
まとめ
正絹の振袖は憧れです。
レンタルでも正絹の振袖を探す人が多く、正絹は高級感と柔らかい質感、そしてブランド力、と根強い人気を誇ります。
しかし、最近ではポリエステル技術の発展がめざましく、見ただけでは見分けがつかないほどです。
技術の進歩によって、正絹の質感にも近づいているため、ポリエステルの振袖を選ぶ方も増えています。
素材にこだわらず、自分が好きな柄や雰囲気の振袖をじっくり選び、思い出に残る成人式にしましょう。
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