袴
2021.6.25
矢絣柄の袴が人気の理由とは?今人気のレトロ柄の種類と意味
今、卒業式で大正ロマン風が袴スタイルのトレンドです。 矢絣柄は特に人気の柄で、大正時代の女学生がよく着用していました。 レトロ柄には他にも色々な柄があり、それぞれに意味があります。 この記事では、袴の柄と意味について詳しく紹介します。
大正ロマン風のレトロな矢絣柄袴スタイルが今人気
大正ロマン風とは、大正時代の女学生が着用していた着物に袴のスタイルです。
特に矢絣柄袴スタイルの人気が高く、卒業式でも今人気のコーディネートです。
そこで、人気の矢絣柄や、その他の柄について詳しく説明をします。
矢絣柄について
大正ロマン風スタイルの代表ともいえる矢絣柄。大正時代の女学生を描いた漫画「はいからさんが通る」の主人公が着ていた袴の柄が、まさに矢絣柄です。
矢絣柄とは、矢羽根柄の中のひとつで、弓矢の矢羽根を交互に並べた柄を指し、様々なパターンがあります。その中でも、絣技法を使って織ったものを矢絣柄と呼びます。矢羽根柄と比べて羽根の輪郭部分がかすれているのが特徴です。
矢絣柄の矢の柄には、「戻らない」という意味が込められています。矢は、一度射ると戻って来ることはありません。そこから、「娘が嫁ぎ先から出戻って来ないように」という想いを込めて、昔は結婚の時に矢絣柄の着物を持たせていました。
現代では卒業式で着用することが多い矢絣柄スタイルですが、大正時代から女学生といえば矢絣柄と言われるほど定番のスタイルです。その柄の意味と女学生のイメージから、矢絣柄は「若い女性」が着用することが多いためです。
関連記事:振袖の柄の種類と意味を一挙紹介!【成人式に人気の柄の種類も紹介】
矢絣柄の袴スタイルが人気の理由は?
ここ数年、成人式や卒業式の袴スタイルで特に人気が高いのが大正モダン風スタイルです。
大正モダン風とは、古典柄と現代的な花柄や模様を個性的なコーディネートで楽しむスタイルです。
特に矢絣柄は、コーディネートの中に入れるだけで簡単にレトロモダンなスタイルになります。そのため、矢絣柄の袴スタイルは非常に人気が高いです。
袴選びの参考に!柄の種類とそれぞれの意味
その他の柄についても詳しく説明をします。
椿柄
椿の柄には、「謙虚さ」「しとやかさ」などの意味があります。
ころんとした丸い花の形と小さな緑の葉が、愛らしい印象を与えます。
椿の花は、花がぽとりと落ちる姿を見て「縁起が悪い」と勘違いされることもあります。
しかし実際は、平安時代から貴族たちに愛される「高貴な花」と言われていました。
厄除けの意味もあり、新しい門出を祝うにはぴったりの柄です。
椿柄は大柄に描かれることが多く、高身長の方は特に似合います。
着物の色は赤と白で、袴にパステルカラーの青やオレンジを組み合わせると、レトロモダンな印象を与えます。
桜柄
平安時代、貴族の間で特に愛された桜柄は、日本を代表する着物柄のひとつです。
桜柄には季節の始まりにちなんで、「縁起の良いことが始まる」「新生活のスタート」といった意味が込められています。
桜柄の特徴は、満開に咲く桜の様子や、桜吹雪に散る花びら、枝垂れ桜の揺れる様子などが描かれることが多いです。
小さな花を全体に散りばめたようなデザインが多いので、低身長の方にもおすすめです。
赤やピンクの着物に、あずき色や紺色の袴と合わせるのが袴スタイルの王道パターン。知的でフレッシュな装いになります。
梅の花柄
梅の花には、「忍耐力」や「美」の意味があります。
寒い冬を耐え忍んで花を咲かせる様子は、日本の女性の強さを象徴しています。
梅柄の特徴は、丸い花びらが単調に描かれていて、モダンな印象を与えます。色も、赤・白・ピンクとはっきりした色を使うことが多く、濃い色の袴と組み合わせると大正ロマン風のレトロな印象に仕上がります。
菊柄
菊の柄には「長寿」や「邪気払い」の意味があります。日本では、菊は昔から格の高い柄とされていました。そのため新しい門出のお祝いにピッタリの柄です。
大きな菊の丸い形に、いくつも重なる花びらが華やかで上品な印象を与えます。赤白の大きな菊の花柄に、白の袴を合わせるとモダンな雰囲気になります。
桃の花柄
桃の花には、「邪気を払う」「幸運」といった意味が込められています。女性の柔らかい雰囲気を引き出す可愛らしい柄です。
桃の柄はピンクを基調にしていることが多く、全体的にパステルカラーでまとめると柔らかい春のような印象になります。
逆に袴の色をからし色のような濃い色にすると、レトロモダンな印象になります。
牡丹柄
牡丹の花柄には、「壮麗」「美」「高貴さ」といった意味があります。
「立てば芍薬、座れば牡丹」という言葉があるように、女性の「美」を象徴する花でもあります。
牡丹の柄は、大きめに描かれているものもあれば、小さく添えられるようなデザインになっているものもあります。
大きめの牡丹の柄は、全体を赤と黒でコーディネートするとモダンで大人っぽい印象を与えます。
橘柄
橘柄は、長寿を意味する縁起の良い柄です。
葉とセットで描かれることが多いのも特徴のひとつです。
オレンジや朱色の橘柄に、深緑や赤といった濃い色の袴と合わせると、フレッシュで若々しく元気な印象になります。
松の文様
松は「吉祥樹」といわれ、「長寿」や「縁起物」という意味があります。
渋いイメージが強い松の文様ですが、若い華やかな女性向けの松もあります。
梅や桜と一緒に描かれているため、ポップで可愛らしいものが多いです。
赤や黒の松の文様に、オレンジの差し色の袴を合わせることで、古風な柄もモダンな印象に仕上がります。
鶴の文様
吉祥文様の一つである鶴は「長寿」の意味があります。
鶴が飛躍する姿は、卒業式のような新しい門出にピッタリの柄でもありますし、何より着物柄の中でも特に豪華です。
梅や桜の花と一緒に描かれることが多く、朱色に深緑の袴のコーディネートは卒業式の王道コーディネートです。鶴の柄はレトロで可愛い、まさに大正ロマンの代表ともいえます。
雲の文様
雲は、古来より神の住処と言われている縁起の良い文様です。雲の文様にはいくつか種類があり、特に成人式などで使われる柄は雲取文や瑞雲と呼ばれる柄です。
ふわふわとした文様は、女性らしい柔らかい印象を与えます。雲の文様は単体よりも、桜や菊、椿とセットで描かれることが多いです。
赤黒の絞りに黒や紺の袴をあわせると、古典的で豪華な印象に仕上がります。
短冊の文様
吉祥文様のひとつで日本独自の文様です。
短冊の文様にある「短冊」とは、俳句を読む時に使用する細長い厚紙のことです。
「学問や仕事の成就」といった意味があり、卒業式や入学式にぴったりの柄です。
短冊のような古典柄に絞りは定番で、非常に豪華です。
紅白の着物にえんじ色の袴を合わせると、華やかで知的な印象になります。
青海波の文様
海の波がいくつも重なって続いていくような文様で、「変わらぬ幸せや平穏」という意味があります。穏やかな門出を祈る場面にぴったりの柄です。
波がゆったりと重なる爽やかな柄なので、青を基調としたコーディネートにすると全体的にまとまって知的な印象になります。
鱗文様
三角形を上下に重ねて敷き詰めるように組み合わせた柄を、鱗文様といいます。
世界的に見る柄ですが、日本では蛇の鱗のように見えるため「魔除け」や「厄払い」といった意味があります。
幾何学的な文様は、レトロモダンな装いを目指す方にピッタリの柄です。
鱗文様のみで少し淋しく感じる場合は、袴に桜や菊などの花柄を合わせるとモダンで華やかな印象になります。
亀甲文様
亀の甲羅が由来となった亀甲文様は、正六角形が連なる有職文様です。
細かいものもあれば大柄のものもあり、大きさによって印象が変わります。
亀甲文様は、菊の花など縁起の良い柄と一緒に描かれているデザインが多く、現代的で豪華な印象です。
落ち着いた雰囲気にしたい場合は、黒白の2色で統一するとモダンな印象になります。
市松模様
色違いの正方形が並ぶ模様を市松模様といいます。
終わりなく柄が並ぶ様から、「繁栄や永遠」を意味しています。
市松模様は、矢絣と同じくレトロコーデの代表柄です。
大きめの市松模様に花柄の袴を合わせると華やかな印象に、細かい市松模様に紫や紺の袴を合わせると大人っぽくモダンな印象になります。
金銀加工
金糸や銀糸を使って文様や柄を刺繍することを金銀加工といい、着物がキラキラと輝くので、ワンランク上の豪華さがあります。
また、染の着物に金箔などを使って装飾することを金彩加工といいます。金銀加工はゴージャスでありながら上品さも失わないため、まるで美術品のように美しいと言われています。
まとめ
卒業式の袴に合わせる柄は、華やかさだけでなく縁起の良さも兼ね備えた柄がよく選ばれています。個性的で可愛いコーディネートを目指す一方で、着物の柄に込められた意味を知ることでより一層感慨深い日となるでしょう。