選び方
2022.5.11
振袖の古典柄ってどんな柄?種類や選び方について解説
個性的なデザインの振袖が次々と登場してきている昨今において、圧倒的な美しさと存在感で愛され続けているのが「古典柄」の振袖です。最もスタンダードな振袖の柄として、現代でも変わらず不動の人気を誇っています。
繊細で美しい見た目もさることながら、その格調の高さが古典柄を選ぶ理由の一つだといえます。ポップでかわいらしい、今どきの振袖も十分魅力的ですが、やはり一生に一度の記念すべき日は正統派の装いで迎えたいものですよね。
当記事では、古典柄の持つ魅力や、絵柄に込められた意味について徹底解説していきます。ぜひ振袖の選びの参考にしてみてください。
振袖の古典柄ってどんな柄?
「古典柄」と聞くと、なんとなく古くさいイメージを持つ方もいらっしゃるのではないでしょうか。古典柄は古来より長く親しまれ、現代でも根強い人気がある伝統的な柄です。たしかに発祥から歴史はあるものの、全く古くささを感じさせない魅力があります。
現在、振袖には「レトロ柄」、「モダン柄」、「新古典柄」などの種類があり、古典柄以外のものも人気を集めるようになってきました。
しかし、古典柄は日本ならではの伝統美を継承しており、品格の高さを感じさせる外観から、「正統派な王道柄」として位置づけられています。
古典柄には様々な種類があり、描かれた柄によって「厄除け」、「子孫繁栄」、「長寿」などの意味を持っています。古典柄の意味や由来を知ると、より一層、振袖選びの楽しみが広がりますよ。
振袖の古典柄の種類
描かれる文様はそれぞれ異なる意味を持つため、振袖に込められた願いをかみしめて着用するのも一つの楽しみ方です。本章では古典柄の種類と意味について解説していきます。
花柄
古典柄の中でもスタンダードな文様が花柄です。振袖に描かれる花には、「桜」、「菊」、「牡丹」、「椿」、「薔薇」などの種類があります。
桜
花が芽吹く春を象徴する文様として、「縁起の良い物事の始まり」を意味します。また、桜の木には五穀豊穣の神様が宿るとされ、「豊かさ」という意味も持っています。
菊
菊は古くから位の高い花とされており、「高尚」、「邪気払い」などの意味を持ちます。さらに、切り花にしても長く持つことから「長寿」の象徴ともされています。
牡丹
「百花の王」ともいわれるほど堂々とした風格を感じさせる牡丹は、「富貴」、「幸福」を意味します。女性の美しさを表現する代名詞としても用いられ、華やかさの象徴となっています。
椿
「永遠の美」という意味を持つのが椿の文様です。高貴な花、聖なる花として親しまれてきた椿は、多くの和装に用いられているポピュラーな柄です。
薔薇
薔薇には、色によって意味が異なるという面白い特徴があります。赤い薔薇は「愛・情熱」、青い薔薇は「奇跡・夢が叶う」、ピンクの薔薇は「上品・おしとやか」の意味を持ちます。
鳥や蝶
生き物の柄で縁起が良いとされているのが、鳥と蝶です。鳥は種類によって込められている意味が異なります。
鶴
「鶴は千年、亀は万年」の言葉のとおり、長寿を意味する文様です。同じく長寿の意味を持つ松の文様と併せて描かれることがあります。また、つがいの鶴の場合は「夫婦円満」を意味します。
孔雀
その繁殖力の高さゆえ、「子孫繁栄」を象徴する孔雀。さらには、蠍や蛇などの毒を持つ生物を食べても平気でいられる程の生命力の高さから、「厄除け」の意味も持ちます。
鳳凰
鳳凰は、中国の神話に由来する架空の鳥です。世を幸せへと導く聖天子とともに現れるとされることから、「平和」の意味を込めて描かれます。
蝶
さなぎから羽化し、華美な姿となって飛び立つことから、「吉兆」、「成長」を意味するとされています。古来より縁起の良い文様として用いられています。
吉祥文様
吉祥文様とは、縁起が良いとされる動植物などを描いた文様のことをいいます。ここでは様々な種類の中からポピュラーなものをご紹介します。
麻の葉文様
麻は早いスピードで高く真っ直ぐに育つことから、「子供の成長」、「健康」の意味が込められています。六角形の幾何学的な文様で、和柄の代表格ともいえます。
市松文様
江戸時代に活躍した歌舞伎役者「佐野川市松」が着ていたことにより、当時大流行した和柄です。「子孫繁栄」や「事業拡大」などの意味を持ちます。
唐草文様
風呂敷に用いられているイメージが強い唐草文様。縦横無尽に伸びているツタが生命力を象徴しており、「繁栄」、「長寿」の意味があるとされています。
有職文様
有職文様は海外から伝来した文様ですが、平安時代以降、公家の装束や調度品などに用いられてきた伝統的な文様です。
七宝文
七宝とは、仏教における七つの宝「金、銀、瑠璃、玻璃、しゃこ貝、珊瑚、瑪瑙」を指します。人との繋がりには宝と同等の価値があるという考えから、「縁」や「調和」を意味します。
亀甲文
正六角形が連続して並んだ幾何学的な文様が亀甲文です。亀は鶴と並んで縁起の良い生き物とされ、「長寿」の象徴となっています。
花菱文
花菱文は、菱形の中に花柄が描かれた文様です。有職文様が用いられるようになった当時から位の高い人たちしか使うことが許されなかったため、高貴さや格式の高さを象徴する文様です。
振袖の古典柄の値段はどれくらいが相場?
振袖の購入・レンタルには、ある程度大きな費用がかかってしまいます。その分、成人式で着用する振袖は、本当に気に入ったものを選びたいですよね。
振袖には様々な柄のものがありますが、古典柄と他の柄の振袖を比較した場合、金額にはどのような差があるのでしょうか。
振袖の値段が分かれるポイントの一つとして、インクジェットプリントによって絵柄を付けているのか、職人が手描きで絵柄を付けているのか、という点が挙げられます。
正統派とされる古典柄の振袖の場合、伝統的に手描きで仕立てている呉服屋さんが多く見受けられます。
一着一着、職人が手描きで絵柄を付けている振袖には、プリントの振袖に勝る迫力と高級感があります。
プリントと手描きのレンタル費用の相場を比較すると、プリントの振袖は2万円~25万円、手描きの振袖は20万円~35万円となり、最小額の相場に大きな差があります。
体型別古典柄の選び方
古典柄の振袖は、体型によって最適なものを選ぶことをおすすめします。小柄な方と背が高い方にぴったりな柄について解説します。
小柄な方
小柄な方の場合は、小さい柄・細かい柄の振袖がおすすめです。大きな柄の振袖は地色の部分が多いため、全体的に地味な印象になってしまいます。細かい柄がちりばめられている振袖なら、小柄な方ならではの繊細さ、かわいらしさを表現することができるでしょう。
背が高い方
背が高い方の場合は、大きい柄の振袖や、全体に模様が入った総柄の振袖がおすすめです。
生地の面積が大きくなる分、大きい柄もダイナミックに映えます。小さい柄のみの振袖を着用すると、体型の大きさが強調され過ぎてしまう可能性があります。
古典柄に合う小物選びや髪型・メイクなどのポイントはある?
振袖に合わせる小物や髪型・メイクを考える上でのポイントは、振袖の地色です。
鮮やかでハッキリした色合いの振袖なら、小物はシックな色のもの、もしくは淡い色合いのアイテムがおすすめです。ビビッドな色合いの振袖と小物を合わせてしまうと、お互いの主張が強すぎてバランスがとれなくなってしまいます。
また、振袖の色の濃さに合わせて口紅の色味を調整することを意識しましょう。ハッキリとした色合いの振袖に薄い色の口紅を合わせてしまうと、顔の印象が地味になってしまいます。しっかりシミュレーションして、大人の女性の美しさを最大限に発揮しましょう。
淡い色合いの振袖なら、髪型やメイクはふんわりと柔らかい印象にまとめることがおすすめです。着物を着用するからといって髪型もキッチリまとめるのではなく、ふわっとパーマをあてるなど、あえて軽くすることで他の人との差別化にもなります。
ポップな小物も合わせやすいので、パステルカラーの振袖ならかわいさを押し出したコーデがおすすめ。
古典柄の振袖を買うなら地域の呉服屋や専門店へ
柄のバリエーションが多い古典柄をじっくり吟味して選びたいなら、地域の呉服屋や専門店がおすすめです。
振袖専門のチェーン店や百貨店も品数が多くバリエーションに富んでいますが、古典柄のように、柄の中でも細かくバリエーションが設定されているものだと、地域の呉服屋や専門店が品数も多くニッチな柄も用意されていたりなど、充実していることが多いです。
振袖選びで妥協したくない、という方は是非地域の呉服屋や専門店に行ってみてください。
まとめ
今回は、流行に左右されずに長く愛されている古典柄の振袖について解説しました。古典柄には様々な文様があり、それぞれの絵柄に願いや意味が込められています。
振袖を選ぶのにあたり、第一印象で気に入った見た目の振袖を選ぶのもいいですが、描かれている絵柄の意味を知り、自分の思いを重ねて選ぶようにすると、また違った心境で成人式を迎えることができるのではないでしょうか。
当記事が、あなたにぴったりの一着を見つけるための参考になれば幸いです。